ポリプロピレン フィラメント で3Dプリントは制限が多い

試作品を作るときに最近では3Dプリントすることが多いです、素材指定があるときは安易に引き受けると痛い目に合うので注意しましょう、というお話をします。

指定された素材にPPとあり、PLAじゃないの?と思いながら引き受けたのですが、PPはポリプロピレンのことでした。

まぁ、ポリプロピレンフィラメントはあるし大丈夫でしょう、と思ったのですがとんでもなかったです。

ポリプロピレン フィラメントなんてあるの?

そもそもポリプロピレンのフィラメントってあるの?という話ですが、以下のように売ってはいます。

3Dプリンターフィラメント Ultrafuse PP
https://ultrafusefff.jp/product/ultrafuse-pp/
タイトル

なら、簡単に印刷できるのでは?と思ってしまったのが間違いでした。

ポリプロピレンはくっつきにくい

ポリプロピレンは難接着物と呼ばれ、例えば通常の接着剤とかではくっつかず、ポリプロピレン用の接着剤でないと接着できないぐらいです。

よって、ポリプロピレンフィラメントで3Dプリントしようとしたらビルドサーフェスにくっつかず、滑って印刷ができないのです!

ただまぁそれは解決策があって、ポリプロピレン同士はくっつくので、PPテープ(OPPテープともいわれている)をビルドサーフェスの表面に貼り付ければよいのです。

そうするだけで印刷ができるようになります。

PPテープってなんじゃい!と思うかもしれないですが、よくある梱包用の透明なテープですね。
これをビルドサーフェス前面に張る必要があるので幅が広いもののほうがよいに決まってるのですが、幅72mmのものがあんまり売ってるとこ見ないので、一般的な48mmでいいと思います。

大事なのは厚さで、0.09mm以上のものを選びましょう!薄すぎると剥げてしまってうまくいかないからです。
0.09mm以上のものは 重梱包用 と書かれていることが多いのでそれを目安に探すと探しやすいかもです。

買うときに気になるのが、PPテープとOPPテープの違いです。

一緒です。

OPPはPPの一種で二軸延伸ポリプロピレンというのですが、粘着テープに使われるPPはOPPしかないので、テープに限って言えば、同じです。

気にせず入手しやすいほうを買いましょう。

ポリプロピレン同士はくっつきやすい

さきほどPPテープを敷いたら印刷できるようになったのはなぜでしょう?

それはポリプロピレンはポリプロピレン以外の素材とはくっつきにくいのですが、ポリプロピレン同士はくっつきやすいのです。

なのでPPテープを敷いたところでポリプロピレンフィラメントは滑らずにちゃんと印刷できるようになったのでした。

ですが、このほかの素材とはくっつきにくいのに、ポリプロピレン同士だとくっつきやすいせいで、以下の問題が生じます。

ポリプロピレンの3Dプリントでサポート材が使えない

3Dプリントをしていると当たり前に使うのがサポートです。
空中にいきなりプリントできるわけもなく、そうしたい場合は下からしっかりサポートの柱を出して、そのうえに印刷をするわけです。

が、ポリプロピレン同士はくっつきやすいので、ポリプロピレンをサポート材として使えません。くっついて剥がれないからです。
かといってほかの素材をサポート材にすることはできません。
そうです。ポリプロピレンは他の素材とはくっつかないからです。

詰みです。

ポリプロピレンの3Dプリントではサポート材がなくても作れる形状にする

以上より、ポリプロピレンフィラメントを使うのであれば、サポート材がなくても作れる円柱状のものとか四角い箱みたいなものとかに限られてきます。

空中に飛び出ているような部品は作れないのです。

よって、ポリプロピレン素材が指定された3Dプリントの依頼を受けるときは慎重に対応しましょう。

なんとなくできそう、で引き受けると大変なことになります。

以上です!